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2007年 11月 21日
本山さんの読書感想です。ご紹介申し上げます。
--------------------------------------------------------------------- 『敬天愛人 私の経営を支えたもの』 著者:稲盛和夫 まずタイトルにひかれてこの本を手に取りました。「敬天愛人」とは西郷隆盛の言葉が有名です。この言葉は京セラの社是でもあるそうです。 「天は道理であり、道理を守ることが敬天である。また人は自分の同胞であり、仁の心を持って衆を愛することが愛人の意味である」と解説されています。私の記憶では「天を敬い、人を愛する」と単純に記憶していました。儒教の教えであるとか聖書の言葉であるとか言われていますが、このことは人間の本質であると思います。 もともと我々人間は、何も持たない裸一貫で生まれてきます。そこに天が与えてくださった様々なものやことで生かされて、自分が形成されていきます。もちろん自分が生まれる以前に、ずっと前のご先祖様からいろんなことを教えてもらって、またご先祖様たちがいるからこそ今の我々もいるのだと思います。 そういう本質の考え方を、かの有名な京セラの創設者である稲盛さんがどのように考えていらっしゃるのか。またアメーバ経営との結びつきはどんなものなのかを読み取りたいと思いました。 本書にはフィロソフィという言葉がたくさん出てきます。フィロソフィとは哲学のことですが「京セラフィロソフィ」という言葉で説明されています。これは稲盛さんが経営や人生の局面において、壁に突き当たり、悩みもがき苦しむとき、そのつど人間として何が正しいかという原点に立ち返ってものごとを考え、その原則に従った行動されてきた実践から生まれたフィロソフィです。 京セラフィロソフィは「人間として正しいことを正しいままに追求する」というものがベースになっています。これを京セラの企業全体や組織のベクトルあわせのための哲学として実践されています。 また創業当初のエピソードとして、入社して2年目になった社員10名が連判状を持参して待遇保障を迫った事件が勃発しました。著者はこれまで「必死でやれば何とかなる」という程度の将来の見据え方だったのに、将来の待遇保障など考えも点かなかったそうです。そこでこの社員たちと三日三晩話し合いをして、最後には「もし私がいいかげんな経営をし、私利私欲のために働くようなことがあったら、私も殺してもいい」とまで言って説得されたそうです。そうして話し合った結果、その社員たちは要求を撤回して会社に残って、これまで以上に心骨をそそいで働いてくれるようになったそうです。 ある意味影腹を切ったような経営のすべり出しを20代の創業当初にされ、まさに命がけの経営をされていることを知り、自分が同じ立場ならどのような言葉で説得するか。もしくはこの社員をあきらめてしまうか。という想像をしてみましたが、なかなかその状況が想像できず自分がそういう境遇になった際に、必ず社員たちを説得できるように日々の研鑽をしていきます。 またこのときの営者自身が明日のことも分からないにもかかわらず、社員は何年も先までの待遇改善を期待し、家族まで含めた将来にわたる保障を会社に求めているということを始めて知ったと著者は言われています。 私は伯父であるセライズの創業社長の宮地一雄に、子供のころ「社長というのは社員が100人いたら、掛ける4の400人の家族まで責任があるのだ」と言われているのをよく聞いていました。そのときは大変なんだなぁ・・・などとひとごとのように考えていましたが、そのような立場になったとき改めて伯父の言葉を思い出し、身が引き締まる思いがしたことを思い出しました。 それらの経験から「全従業員の物心両面の幸福を追求する」と「人類、社会の進歩発展に貢献すること」を京セラの経営理念にすることにしたそうです。 またアメーバ経営についても簡単に解説されており、社員一人一人が生き生きと働くことのできる企業であるために、個人の能力が最大限に発揮される組織が必要であると考え、この観点から考え出された経営手法が「アメーバ経営」だそうです。 一つ一つの組織が環境に応じて自己増殖することからアメーバと名づけ、中小企業のような根強い組織体を企業内につくり、中小企業の経営者と同じような経営感覚を持ったリーダーを社内に育成し、大企業では利益がでないような仕事でも何とか儲かるように工夫することができるようにしたそうです。 また収支も評価が明確で、各アメーバの売上げから使った経費をすべて差し引いて、残った金額をつきの総労働時間で割った数字を指標としていて、これを「時間当たり採算制度」と呼んでいるそうです。 つまり京セラという大企業の中に、たくさんの中小企業が存在し利益を生んでいるという組織体です。 各中小企業には経営者がいて、そのリーダーに経営を委任するという経営手法に、すばらしさを感じました。ですが優れたリーダーをいかに作れるかがこの経営のキーになると思います。そういったアメーバの中で、セカンド、サードリーダーを育成していく土壌ができているのだと感じました。 またこれが大企業だけでなく、中小企業にもあてはめて実現できるのではないかと思います。例えば事業所単位、課単位、小さなグループ単位でもいいかもしれません。 それらをひとつのアメーバとして考え、リーダーに経営を委任すると実現すると思います。これらリーダーには経営に関する能力が必要です。ですがやらせてみないとその人にその能力があるかどうか分かりません。私の今の考えは、どんな人間でも環境によってその人間の成長能力が決まると考えていますので、まずは50点でもよいのでやらせてみることが重要だと思います。 その他の能力がなくても、与えた仕事についてはものすごく能力を発揮するかもしれません。それはやらせてみないとわからないと思います。これは人だけでなく改善活動でもそうですが、やってみなくてはわからないことばかりです。やってみたからこそ問題が発生・発見できるのであって、考えて問題点を列挙してやってみない・・・ということでは前に進めないと最近考えられるようになって来ました。 また著者は、仕事や人生の成果を表す方程式を 人生・仕事の結果=「考え方」×「熱意」×「能力」だといっています。 「能力」は生まれたときから決まったもので、これは先天的で変えようがない。 だが「熱意」は努力とも言い換えられるが、自分の意志で決めることができる。 「考え方」はその人の魂から発するもので、生きる姿勢と言い換えられる。「能力」と「熱意」は0~100点なのに対し、「考え方」は-100~+100点まである。 この3つの掛け算なので、否定的な考え方の人は「能力」や「熱意」がものすごくあっても、人生では結果が出ないということになります。 塾頭の言われる「絶対積極」と「能力の差は2~3倍、思いの差は200~300倍」と同じことを稲盛さんも言われています。稲盛さんは能力が平凡だったが、熱意では誰にも負けないようにがんばったと言われています。 また松下幸之助さんと本田宗一郎さんを引き合いに出され、お二人は高等教育を受けておられず、丁稚奉公にいかれたので最高学府での学問の経験もなければ、専門知識もお持ちでない。しかし何にも増してお二人は燃えるような「熱意」を胸に、誰にも負けない努力を払われた。また、事業を通じて、従業員をはじめ世の多くの人々に貢献したいと崇高な「考え方」をもっておられた。だから成功された。 人間はともすれば、有名大学を出、学問をすればするほど「能力」に依存し、「熱意」や、さらには「考え方」の重要性に対する認識が希薄になってしまう。そのせいか有名大学出身の創業者で成功した人は思いのほか少ないと言われています。 著者は本書の中で、社員やお客様との関係、社会に対する貢献などから、「敬天愛人」を説明されていました。そしてそれをひとつの哲学として社内にも根付かせています。 著者は「経営というものは、経営者の人格の投影でしかあり得ない。そのため、人間としての正しい判断基準を持ては、それは必ず経営の実践の場においても有効に機能するはずである。」と本書の冒頭で述べられています。 また「成功に至る近道などあり得ない。情熱を持ち続け、生真面目に地道な努力を続ける。このいかにも愚直な方法が、実は成功をもたらす王道である」とも述べられています。 この二つの言葉は、私の腹の中にどっぷりと落ちました。 この言葉を忘れず、今後も日々努力していきます。
by yasundo3
| 2007-11-21 10:42
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